じゃあねと手を振って3人は帰っていった。


もしかしてみんな…私が先生を好きだって勘違いしてる…?!


まだ入り口の所にいた先生は、ため息を吐いていた。



「すいません!すぐに帰ります!」



「そうしてくれ。あ、終わったら少し、玄関で待ってろ」



先生はそう言って廊下を歩き始めた。


先生がなんでそう言ったのかわからない。


私も急いで帰り支度を済ませて、玄関へと向かった。



靴を履き替えていると先生の姿が見えた。



「鳴海!」



先生は右手に持っていた何かを、下からゆっくりと私に向かって投げた。



「それやる」



先生が私にくれたのは冷たいいちご・オレだった。



「生徒が元気ないと心配だからな。他の生徒には内緒だぞ。気を付けて帰れよ」



先生はそう言って右手を軽く上げた。



「ありがとうございます。さようなら」



先生に挨拶して私は学校を出た。



駅に向かう途中、きのうはまだ咲きかけだった桜が咲いていることに気付いた。



「2年目かぁ…」



高校に入学して、

彼を見つけて、

少しずつ景色は変わっていた。