「立ち直り早くない?まぁいっか。でもどんだけ苺好きなの?って感じだよね」
そう、私は苺が大好き。
飲み物も、お菓子も、苺味ばかり。
それはもう友達も引くくらいに。
「でも誰のことを想って落ち込んでたのかな?」
2人して全部知ってるんだから、と言わんばかりの顔をして聞いてきた。
誰を想って…か。
イマイチ好きっていう恋愛的な感情がわかんないんだよね。
「ほら、早く帰りなさい」
今年赴任してきたばかりの数学の先生が、まだ教室に残っていた私たちに言う。
たしか…
“神影先生”
だっけ?
25歳で独身だから狙ってる子たくさんいるって聞いたなぁ。
確かにカッコいい。
教室には私たち4人しかいなかった。
「じゃあ私たち帰るから、先生この子にいちご・オレ奢ってあげてよ!今物凄く凹んでるから」
楓が私を指差して言った。
「ちょっと!さっき楓が奢ってくれるって言ったんじゃん!」
「言ったけど…丁度先生が現れたから。それより、うちらこれからバイトあるし」
「私も塾があるんだ。先に帰るね!」