まだ出逢って2週間くらいしか経ってないのに、これを恋と呼べるのかもわからない。


今までは駅で見掛けるコウくんが一番気になっていたのに…。


でも、こんなに苦しくなるのは先生だから。

今は先生のことばかり考えてしまうよ…。



「鳴海!」



私を呼ぶ声。


廊下の向こう側から聞こえる足音。



「先生…?」



顔を上げて、見えた姿はやっぱり先生で、私の所に着いた時には息を切らして、肩で呼吸していた。



「…大丈夫ですか?ダメじゃないですか。先生が廊下走っちゃ…!」



私はなるべく明るく言った。



「…さっき…廊下走ってた…奴が…何言ってんだよ…」



先生もヘトヘトになりながら言う。



「久々の全力疾走…きつい…」



「何も全力で走らなくたって…」



「バカ!心配だったんだよ、お前が!俺がこんなんじゃ、補習も出来ないと思って他の先生に頼んできたんだ…って、泣いた?」



先生の手が私の頬に触れて、親指で涙の痕をなぞった。



「今度は払わないのな」



その言葉が、胸に突き刺さる。