「ちょっ…おい!ホントに平気なのか?!」



本気で心配し出す先生。


大丈夫と言いたいのに、声が震えて上手く喋れない。



「鳴海…?」



心配する先生が私に触れようとする。

でも私は大好きなその手を払った。



「…すいません…、私…保健室行きます…!」




先生の横を通って、保健室まで走った。



保健室の前に着いた時には、涙が頬を伝っていた。



「うっ…うぅ…っ」



その場にしゃがみこんで私は泣いた。


苦しくて涙が溢れる。


でもこの“苦しい”は先生を意識しての苦しいじゃない。


私が先生の手を払ったとき、先生は少し、悲しげな表情をした。



あんな顔させたかった訳じゃないのに…そうさせてしまったことが悲しくて、苦しい。


止めたいのに、流れ続ける涙。



今ならわかる…。



私、先生が好き…。



そばにいたいよ…。



「先生…」



聴こえるはずもないのに、小さく先生を呼んだ。



きっと補習始まってるよね…。


私ももう帰ろう。


ゆっくりと立ち上がって、玄関へと向かった。


歩きながら手のひらで涙を拭う。