HRも終わって、みんな帰り支度をしている。


“バイバイ”と手を振って、教室を後にするクラスメイトが羨ましい。



「私も帰りたい…」



「そっか。補習だもんね、那智。まぁ頑張んな!」



瀧口ちゃんもそう言って帰っていった。



そう言えば、補習ってドコでやるんだろう。

担任に聞いておけばよかったと、肩を落としながら、私も廊下を歩き始めた。



「とりあえず職員室行かなきゃ」



ため息混じりに独り言を言ってみる。


なんか余計気が重い。



「暗いなぁ」



聞き覚えのある声。


振り向くと、そこには神影先生がいた。



今日楓たちと話していたことを思い出して、急に恥ずかしくなる。

なんていうか…マトモに先生の顔が見れなくて、私は目を逸らした。



「顔赤いけど、大丈夫か?」



先生の手が私の前髪に触れる。


そしておでこに、ひんやりとやわらかい感触。


私のおでこに少しだけ触れた先生の手。


その手の上から、私は両手で、ギュッて、した。



「どした?」



先生は微笑んで、私に問いかける。



「先生の手好き」



「手?」