狡いなぁ…。


私だって“おはよう”って言いたかったのに。


心の中ではそう思っていても、やっぱり嬉しさには敵わない。


帰りにまた会えることを期待して、私も学校への道を歩いた。



昨日よりも香る桜の花びらにちょこんと指で触れてみる。



「やわらかい…」



軽く触れた花びらは、これ以上触ったら散ってしまうんじゃないかと思うくらい、やわらかかった。