時計の針は、5時50分を指していた。

準備OK!

髪の毛は、高く上げておだんごに。

浴衣は、去年買って着なかった黒地に蝶の模様に。

かばんは、巾着に。

帯も、可愛く結んでもらった。

鏡の前で、くるくる回っていた。


ピーンポーン...


「あ!

 陵が来た!!

 お母さん、お父さん、行ってきます!」

「気をつけてね」

「あまり、遅くなるなよ~」

「はーい!」


ガ..チャ...


「おっす」

「おっす!」

「...っ///」

「?」

「行こうか」

「うん?」

今度は、陵から手を握ってくれた。

すっごく恥ずかしいけど...

下を見ながら、手を握り返した。