幸せそう...

私の目は、

若い夫婦に向いていた。

あんなに、幸せそうに

微笑んでいて...

私もつられて笑顔になった。

「美雨?」

同じ方を見つめている私が気になったのか

陵が、声をかけてきた。

私が返事する間もなく

陵は、私と同じ方を見て言った。

「幸せそうだな...

 あの人達...」

「うん」


ガー...

エレベーターのドアが開いた。

私と陵は、静かに入って

『3』

と書かれたボタンを押した。

ドアは、閉まり上へ上がっていった。

私にも、あんな風に

幸せを感じる事ができる日が

くるのかな?