「また、よろしくね」

「お...おう」

「?」

陵の席は、窓側の一番後ろだったから

あたし的に好きな場所だった。

陵の席の隣にはあたしの机が並んで

置いてあった。

あたしの居場所...。

そう思うだけで、心がほんの少しだけど

軽くなった気がした。

記憶がなくなった今。

あたしは知らない世界にいるみたいだった。

あたしの居場所が見つからなくて

苦しかった。

それでも、学校にはあたしの

居れる場所ができた。


それだけでも、

凄く心の支えになってくれた。

陵。

秋穂。

この2人のおかげで、少しは

学校生活も楽しく過ごせるかな。

感謝しても感謝しきれないほど

2人には『ありがとう』を

伝えたい。

「ありがとね。色々...」

そう呟いて、あたしは自分の席に座った。