昨日は楽しかったな。
今日は郁子の家で遊ぶから、準備をして家を出た。
アイツはもう来ていた。卓也だ。
「おせーぞ、チビ」
ウチは、チビではない。どちらかというと高いほうだ。
なのに、卓也はチビと言う。しょうがないのも当然か・・卓也は男子で一番大きいから。
そこも好きなんだけれどさ。
でも怒る気になれない。そうか、ウチは卓也が好きで好きで大好きなんだ。
その瞬間、顔がか~っと赤くなっていった。
卓也をチラッと見てみた。あれ?なんで卓也も顔が赤いの?なんで?なんでッ?
郁子は、そのことを気にせず、怖い話を始めた。
ウチは、怖い話が平気!・・・・・・・なはずだった。
この時だけ、悲鳴をあげてしまったのだ。
悲鳴をあげただけならいいものの、卓也に抱きついてしまった。
「ご、ごめん」
ウチはとっさに謝った。
「お・・・おう」
卓也は頷いた。
あれ?なんで怒らないの?いつもなら、
「ふざけんじゃねぇ くそ野郎」
と言われて、叩かれるのに。
卓也はまた、顔を赤くしている。なんで、なんで、なんで??
「やばっ」
ウチの声が郁子の家中に響いた。
時計はもう6:57をさしている。
夏だとはいえ、少し暗い。どうしよう。
一人で考えこんでいると、
「俺が送っていくよ」
卓也の声がした・・・