そんな兄貴に小池先輩が、
「先輩だけじゃなく、可愛い妹にまで手出
すなんて、お前卑怯だぞー!」
と言った。

私は嬉しかった。13年生きてきた中で、異
性に可愛いなんて普通に言ってもらった事
がない。

「全く可愛くないっすよ!!小池先輩、目覚ま
してください!」
「お前、あと一回それ言ったらバスケ部か
ら転部な(笑)妹にも手出すなよ。可哀想だ
ろ!」
そう言ってくれた小池先輩。
「てか、お前らきょうだい、声似てるな!」
突然笑いだした。

私はカチーンときたが、菜奈が部活を終わ
って来たので、
「似てませんからね!んぢゃ私は帰ります」
と一言言い捨て、自転車をこぎだした。
すると、
「超似てるからー!ばいばーい!」
と小池先輩が言った。

「似ーてまーせーん!!」
とおもいっきり叫んで帰る私に向かって、
「すいませーん」
と小池先輩が言った。


これが私の、全ての恋の始まりだった。
私はまだこの時、これが恋だとは思いもし
なかった。