「はぁ…。やっぱり辛いかも。」



好きな人が近くにいるのは嬉しいけど、好きな人が違う女の子を想って近くにいるのは辛い。
平気そうな、なんとも思ってないような顔をしていてもやっぱり辛いもんは辛い。


ボーッと窓の外を見て、いつも龍夜がいた屋上を見つめた。
ずっと見ていたら龍夜がフェンスに寄りかかった姿が見えた。



「?あいつあんな所でなにやってんの?」



最初、煙草を吸いに行ったのかと思って見てたけど、どうやら違うらしい。


隣に可愛い彼女がフェンスに寄りかかった姿が見えた。



「あ、あそこで彼女と話すんだ。」



そう呟きながら二人の姿を見ていた。
しばらくして、龍夜が吸っていた煙草を下に落として足で消しているのが見えた。

煙草を消し終えた龍夜はこっちを向いて何かを探すように首を動かしていた。
彼女は隣で、龍夜の腕を掴んでいた。


そんなことをまるで気にしてない龍夜はまだ何かを探している。
龍夜を見ていたら目が合った。


龍夜は私を見ながら微笑んで手を振ってきた。
でも、私に振ってるんじゃなかったら完璧龍夜に馬鹿にされると思って確認のために、自分を指差してみた。


そしたら、龍夜は何度も頷き手を振った。
手を振り返したら、龍夜が私を指差したまま彼女に何かを言っていた。



「………?」



不思議に思って首を傾げていたら誰かが部屋をノックしたので振り返って返事をした。

入ってきたのはさっきの看護婦さんで忘れ物を取りに来たらしい。
部屋から看護婦さんが出て行ってから屋上に目をやるともうそこには龍夜も彼女もいなかった。