目を開けると周りは草原だった。



「ここは?」



見渡す限りの草原に不思議に思いながらも後ろを振り返ってみた。

後ろには



「桜の…木?」



誰かと約束した…。



“桜の木の下で待っててくれるか?”



一体誰と?
ただ、何故だか行かなければならない気がした。


立ち上がって桜の木に近づいたら誰かの後ろ姿が見えた。



「女…?」



近づくと胸がドキンドキンと脈を打つ。
苦しいくらいに脈を打つ心臓に手をあてて深呼吸をした。



(どうしたって言うんだ?)



もう1度女を見る。
女は儚くてまるで桜の花のように美しい。

近くに行くと女が何か呟いていた。



「遅いなぁ?龍夜。やっぱり私のこと忘れちゃったのかな?
それとも私よりいい女ができたとか?


いやいや、龍夜はそんな人じゃないし。
でも、もしそうだったら?
悲しくて死んじゃう…。
あ!!もう死んでるんだった!!」



一人で俺の名前を呟きながら表情を変える女を見て思い出した。