そう言った俺を見て千夏は驚いた顔をした。


ただ黙って静かに俺を見つめた。
真っ直ぐな瞳を俺に向けるから俺も見つめ返した。


しばらくすると、千夏が静かに頷いた。



「分かったわ。
あなたたち夫婦の頼みを叶えてあげるわよ。」


「ありがとう。」


「ただし!!条件がある。」

「条件?」


「そうよ!!桜を幸せにしなさい!!桜を泣かせたり悲しませたりするようなことがあったら、即刻貴方の骨だけ拾ってバラバラにしてやるわ!!」



真剣な顔つきで言う千夏は本気のようだ。



「分かった。だけど、桜を悲しませるわけがないだろう?
こんなにも愛しているのに…。」



そう千夏の瞳を見ながら言いきった俺を見て満足そうに頷いた。



「さすがは私が惚れた男ね!!」



そう言う千夏を見て笑った。



「…最後の条件よ。

あなたたちのお墓は、桜の木の下でいいわね?」


「あぁ。頼むよ。」



そう言ってくれた千夏に優しさを感じた。


本気で桜を思ってくれてる証拠なんだと思う。



「千夏…。

今まで俺達を支えてくれてありがとうございました。

千夏も…。
貴女もどうかお幸せになられますよう願っています。」


「…余計なお世話よ!!


龍夜…。
貴方もどうか末永く桜様とお幸せになられますよう心より願っております。


貴方を愛して後悔はしていません。
貴方と別れたこと、私は正解だと思っています。
だってこんなにも幸せそうな顔をしている。


早く行ってください。
貴方の愛する桜様がお待ちになられているのでしょう?」



他人行儀に話す俺達は違和感だらけだけど、これが俺達なりの終わり方だ。