~龍夜side
検査に行ってからもう1時間経っていた。
いつもならもう帰ってきているはずなのに、まったく帰ってこない。
心配になって部屋から出た。



「り…龍夜くん!!」



後ろから俺を呼ぶ声がして振り返ると看護婦が息を切らしながら立っていた。



「なんですか?」


「桜ちゃんが…!!」



俺は、桜のいる検査室まで走った。
看護婦によると階段の下で倒れていて、体に傷を作っていたらしい。
頭を打ったのか意識が戻らなく、今は、検査室のベッドで寝ているらしい。



「はぁ…!!桜!?」


「龍夜くん。」


「先生!!桜は?」


「大丈夫だ。一週間もすれば目を開けるじゃろ。」


「そうか…。」



桜の隣に座って手を握る。
寝ている桜はまるでお人形さんのように美しかった。


翌日桜は部屋に戻された。
朝からずっと桜を見ていたけど、眠ってる桜は桜なんかじゃなかった。
千夏も駆けつけてくれてずっと桜の顔を見ている。



「ねぇ…。龍夜。」


「あ?」



しばらく桜の顔を見ていた千夏は桜から視線をはずして俺を見ながら話しはじめた。



「知ってた?」


「なにを。」


「桜、ずっと嫌がらせ受けてたんだよ?精神的に疲れてるはずなのに龍夜に嫌われるのが嫌だから龍夜に言えないでいたのよ!!」


「…っ!!」



そうだったのか…?
馬鹿だな?俺は、そんなちっぽけなことじゃ嫌いになんてならねぇよ。
どんだけ桜を愛してると思ってんだ?
俺は、桜を愛して信じてる。
だから、嫌うなんてないし、桜にも俺を愛して信じてほしい。
君が俺を愛して信じてくれるならもう何も要らないから。

だから、愛して信じて下さい。