部屋で龍夜のことを待っていると、龍夜の彼女が来た。



「何ですか?」


「あなた、龍夜のこと好きなの?」


「え?」


「好きなの?」



その質問には、ただ頷いておいた。



「そう…。なら、ひとつだけいいこと教えといてあげる。」


「いいこと?」


「龍夜を好きな人はたくさんいる。ファンもいるから彼女だって分かったときは痛い目みるから気をつけなさい。悩んだら、すぐに龍夜に言わないと精神持たないからね?それだけ言いに来たの。どうぞ末長くお幸せに。」



それだけ言って彼女は出て行った。

…末長くお幸せにって別れたの?
てか、なんで付き合ってる前提みたいに言ったんだろ?


彼女が出て行ったドアを見つめて考えていると、龍夜が入ってきた。



「なんでそんなドア見つめてんの?」


「あ、お帰り。…いや、実はさ…。」



さっき彼女が来たこと、言われたこと、思ったことを全部話した。



「ふーん。」


「で?本当に別れたの?」

「別れたよ。俺の好きな人を教えたら悔しそうに唇噛んでた。」



ケケケッと笑う龍夜はイタズラが成功した子供みたいだった。



「ふーん?で?その好きな人って?」



そう聞くと龍夜は椅子から滑り落ちそうになった。



「お前、千夏にも言われたのに気づかないのか!?」


「だから、何が?」


「マヂか…。しゃーねーな!!一回しか言わねぇ。ちゃんと聞けよ?」


「うん。」



そう返事をして、龍夜と向き合った。
本当はこれから龍夜に言われることは分かってる。

でも、そーゆーのって本人の口から本人の言葉で聞きたいでしょ?


龍夜は一度深呼吸をして話しはじめた。