「俺は、お前のものになったつもりはない。」


「だって、私だけの龍夜でいてね?って言ったらいるって言ってくれたじゃん!!」


「それは、お前が付き合わなかったら死ぬって言うからだろ?」


「それでもいるって言ったじゃん!!」



ウザくなってきた千夏を見て煙草を下に落として足で消した。
少し、あの子を見て落ち着こうと思ってフェンスのほうに体を向けて部屋を探しはじめた。
あの子はよくこの屋上を見ているからきっと今も見てるはず。

そう思って首を動かしてあの子の部屋を探した。
隣では千夏が俺の腕を掴んで、「別れないって言ってよ!!」とヒステリックになっていたが、気にせずにあの子の姿を探した。

少し下のほうを見ると、きょとんとしながらこっちを見ている愛らしい姿を見つけた。
思わず抱き締めたくなったが今は、ケリをつけなければ。

そう思っても顔はにやけるもので…。



「ちょっと!!なんで笑ってんのよ!!」


「あ?」



そう言いながら愛らしい姿に手を振ってみた。
だけど、自分に振られてるのが分からなかったのか首を傾げながら自分を指差していた。



「ちょっと!!誰に手を降ってるの!?」


「俺の好きな人。」


「は?」



自分を指差す姿に頷いて手を振ると小さく手を振り返してきた。
だから、その姿を指差して千夏に「あの子だ。」と教えてやった。