「……これって“鵺”とか“キメラ”の仲間?」

「ん―…どうだろう?私もよく分からないや」

「……そっかぁ…」


変な生き物だが、神聖なのは確かなようだ。


「あっ、早く森に行かなきゃね。うっかりしてた」


レクシスが明希の手を掴む。

「ここから近いから、日があるうちに行こっ」


手を引かれて森の方へと歩いていく。

村がだんだん小さくなっていった。





「と…遠くない?」

「あともう少しだよ」


かろうじて歩けそうな道をひたすら進む。


急にレクシスの足が止まった。

「着いたよ。」


そして一点を指差す。

「あそこに明希が倒れていたの」


指差した先には人の形をした像があった。


「女神像…?」

「うん、そうだよ」


暗い森の中だというのに、その女神像は光が射しているかのように美しい。


「この女神様はね、“リルダ”って言うの。“この世界を創った人”と言われているんだ」

「へぇ~すごいね…ん?」

明希があるものを見つけた。

「あ、あれって!」


女神像の首に掛けられているネックレスを見て、自分のネックレスを取り出した。


「っ!?同じっ!」

石の中に星が入っていて、その石を包むように銀の翼の飾りがついている。

明希が持っているのと全く同じものだった。


「どうしてそれを持っているの!?」

「これ、私の誕生日プレゼントにって母さんからもらったものなんだけど…」

再び女神像に目線を移す。
どれだけ見ても全く同じだ。

「その石は、リルダ女神の子孫が代々受け継いでいるものって聞いたんだけど…」

「…え?要するに、私はこの女神様の子孫だってこと?」

「言い伝えだとそういうことになるね…」


明希は顔を引き攣らせた。

「ないない、絶対ない。だって私、異世界から来たんだよ?」

難しい顔をするレクシス。

明希はますますわからなくなってきた。

「…んぁぁーっ!もうっ!!なんだって言うんだ!帰る方法を見つけるために来たのに、謎が増えたじゃんか!帰れたとしても気になって寝れなくなるじゃんっ!!」

「お、おちついてよ…」

ガシガシと頭を掻き、叫び廻る。