レクシスは小屋を出た。
明希もレクシスについて行く。
ガチャ…ッ
「うわぁ~…凄い綺麗…」
「でしょ?この村は、この国で一番美しい村って言われているんだよ」
目の前には大きな風車。
風が吹いて、大きく回っている。
近くの広間では子供達が笑い、駆け回っていた。
遠くからは焼きたてのパンの匂い。
そして、咲き誇っている花の良い香り。
「まるでおとぎ話の世界みたい…」
―…カラーン…カラーン…
美しい音が鳴り響いた。
「…鐘の音…?」
明希は耳を澄ました。
―…カラーン…カラーン…
確かに鐘の音だ。
「ねぇ、近くに教会とかあるの?」
「うん、ボーサム教の教会があるよ」
「…ボーサム教?」
明希が首を傾げる。
するとレクシスは、首にかけていたロザリオを手に取って見せた。
真ん中には蛇の形をした石が嵌め込まれていて、その周りを青い石が囲んでいる。
「私もお父さんもボーサムの信者なの」
これが私のロザリオ、と言ってポケットからもう一つロザリオを取りだす。
明希は興味津々に手元を見た。
「…え?何、この生き物…」
「これ?これは、ルモマニアっていうんだよ」
彼女のロザリオの真ん中には、この世の生物とは思えない形をした石が嵌めこまれていた。
猫の頭に髪を生やし、体はカラスで腕はタコ。
尾は狸で足はアヒル。
これがルモマニアという生き物らしい。