「……はい?」

「えっと…。だから…その…、ここはどこなの?」

「…ここですか?」

「うん」

「ここは、ゼペル村ですよ」

「…………」


しばらくの沈黙。


「………ゼペル…村…?」

明希は首を傾げる。


「…そんなとこ日本にあったっけ?…というか、レクシスはハーフ?」


次はレクシスが首を傾げた。

「にほん…?ってどこですか?」
「えっ、日本は日本だよ」

明希に再び不安が過る。

「まさか…ここ、日本じゃ…ない…?」

「はい…。にほんじゃないですよ?」


ガタッと座っていた椅子から立ち上がった。


「…夢かな?そーか、そーか…」

「…多分、夢じゃないと思いますけど…」


明希の顔からサァーっと血の気が引いていく。

そして力が抜けたようにガタンと椅子に座った。

「…ちょっと待ってよ。あり得ないって、だってついさっきまで…っ」

喉に石が詰まったように言葉が出てこない。
目元が熱くなっていく。

「友達との約束も…家族だって…っ」

今にも溢れ流れそうだ。

でも、ここで泣いても仕方がない。

(こんなことぐらいで泣く私じゃないっ!!)


ゴシゴシと腕で涙を拭った。


レクシスが心配そうに見ている。

「あの…大丈夫で…」
「大丈夫だい!泣いてたまるもんか!」


再び立ち上がり、腰に手を当てて胸を張った。


「よっし、レクシス!私が倒れてた所まで連れていって!」

「え…。あ、はい…。わかりました」


レクシスが返事をしたのと同時に明希は二パッと笑った。


「敬語じゃなくていいよ」

「そ…そうですか?」

「敬語じゃない方が話しやすいから。ね?」


ニコッと笑うとレクシスも笑った。

「うん!じゃあ、森に案内するね」