窓から差し込む光を受けて、明希が目を覚ました。
「ん……ここは…どこ?」
周りを見渡すと机や椅子がある。
ここはどこかの小屋の中のようだ。
ベッドに寝かされていた明希は、ゆっくりと起き上がった。
被っていた毛糸のキャップとロングコートは綺麗に畳まれて横に置いてある。
「誰かいないのかな?」
足をベッドから降ろそうとした。
その時…
ピシッ…
「…何っ!?」
明希の周りに光の輪が現れた。ベッドから手足を出そうとすると優しく弾かれる。
何回やっても結果は同じだった。
「何これ…魔法みたい…」
そう小さく呟いた時、小屋の扉が開いた。
「…あっ、目が覚めたんですね。大丈夫ですか?」
「!?だ…誰?」
小屋に入ってきたのは明希と同い年くらいの少女だった。
長い髪を下で結び、ニコリと笑っている。
「レクシス・ローペニアです。レクシスって呼んでくださいね」
レクシスと名乗る少女は、明希に近付き、優しく両手を包んだ。
「?」
「私がしばらく席を外すことになったから、バリアをかけていたんです。すぐに解除しますね」
小さな声で何かを唱えている。
そして言い終えると、明希の周りを囲んでいた輪がシュッと消えた。
「す、すごい…!レクシスすごい!」
明希はそのままレクシスの手を掴み、上下にブンブンと振った。
途中までは大人しくしていたレクシスだが、
「あの…痛いんで離してくれませんか?」
「はっ!ゴ、ゴメン…」
パッと手を離して右手を差し出す。
「そういえば自己紹介してなかったね。私は日野明希!明希でいいよ」
そう言ってニカッと笑う。
それにつられてレクシスも笑った。
「よろしくね、明希」
そして二人は手を握った。
「…あ、そういえばさ」
明希が口を開く。
「ここ、どこなの?」