「これ…ネックレス?」
長いチェーンの先に、丸い石。
透明なオレンジ色をしていて、中に星のマークが入っていた。
「そうよ。その石はトパーズ。あなたの名前にも入っている“希望”という意味があるのよ」
「そうなんだぁ…。ありがとう母さん!」
ネックレスを首にかけて玄関に向かう。
一番お気に入りの靴を履いて、ドアに手をかけた。
くるりと振り向き、母に笑顔を見せる。
「行ってきます!」
そう言って、勢い良く家を出て行った。
「行ってらっしゃい、明希」
「はぁっ…はぁっ!もうダメだ…遅刻だぁ!!」
腕時計をチラッと見る。
待ち合わせ時間まであと2分。
「間に合わないっ!近道!!」
暗く細い道へと足を伸ばす。
しかしその瞬間、時計の針がおかしな動きを始めた。
「え…っ?」
驚いて、思わずその場に立ち止まる。
もう一度その道に近付いてみた。
また時計が可笑しな動きをする。
「なんなの…ここ…」
小さく呟き、ゆっくりと道に入る。
時計の針はグルグルと回り始めた。
長い針は右回りに、短い針は左回りに回っていく。
それは奥へ進むごとに速くなっていき…
グルグルグルグル…カチッ
「12…時…?」
針はピッタリと12時を指して止まった。そして、
ピシッッッ!!
「なっ…っ!」
亀裂の発生。
そして……消失。
暗い路地には、何もなかったかのように静けさが戻った。