ガラーンッ!ガラーンッ!


「明希っ明希っ!!」

レクシスに叩き起こされ、明希は目を覚ました。

起き上り、窓の外を見る。
まだ、夜中のはずだ。

なのに外が夕焼けのように真っ赤に染まっていた。

連続して鳴り響く鐘の音。

それに混じって聞こえる悲鳴。


「これは…一体、何が起こってるの!」

「キメラよ。キメラがこの村を襲って…」

窓の外で口から火を吹き、建物を燃やしていくキメラ達の姿が見えた。
明希は自分の手をギュッと握りしめる。

「許さないっ!」

バンッ!

「明希っ!」

一目散にキメラへと突っ込んでいく。
外に出れば、一斉にキメラ達がこっちを向いた。


キメラの数はザッと見て七十体。
相当な数だ。


グッと右手を握りこむ。

あの時右手に感じた力が再び戻ってきた。
今ならあの時のように出来る。
確信した明希は、思い切り手に力を込めた。

「っ!!いけぇぇーー!」

バシューンッ!

明希の手からあの時ように光がキメラへと向かって行った。

キメラ達はそれを避けようと一斉に散っていく。
ドーンッと言う爆音が聞こえ、半分ほどのキメラを蹴散らした。

「さぁ、次は誰っ!」

もう一度構えた。
手に力を込めれば、光となって明希の手の中に溜まっていく。

―――その時だった。


ゾワッッ!

突然、悪寒に走った。
背筋がゾクリとし、冷や汗が伝う。
なんなんだ、この感覚は…。

その場の空気が一気に緊張していく。

「…小娘一人に何ビビってんだ?」

地を這うような低い声が響いた。
振り向くとそこには…


「っ!!…あの時のキメラ!」