「んっ…?」

ローブの青年がこちらに気付いた。

「っ…!?」

「久しぶりレクシス。元気にしてた?」

青年が近付いてくる。
近付けば近付く程、妖しい魅力を放つ。

「久しぶり、ハコン。相変わらずね」

微笑みながら返事をする。
さっきまで赤かった顔も、元通りに戻っていた。


「珍しいな。レクシスが友達を連れてるなんて」

チラッと明希を見る。

「何よそれ。私に友達がいないみたいじゃない」

「ハハッ、ごめん。」

ハコンが笑う。
また、レクシスの顔が赤くなった。

「それじゃあ俺、用事があるから。じゃあな」

ハコンはそのまま教会の方へ歩いて行った。

レクシスはその後ろ姿を眺めて立ちつくす。
明希はレクシスの肩にポンと手を置いた。
置かれた瞬間にレクシスはガクッと肩を落とし、ため息をつく。

「…なに、明希?」

「フフッ…」

ニヤニヤと笑う明希の頬を両方から挟む。

「や、やうぇてよふ(やめてよう)」

ムウッとしたレクシスの顔が明希の目の前に迫る。

「誰にも言わないでよ!」

「…ふぁい(…はい)」

それを聞いて、レクシスはパッと手を放す。

まだ顔が赤い。


「さ、行こう。家はすぐそこだから」

と言って明希の手を強引に引っ張って行った。




少し歩いて小さな池を越えると、立派なログハウスが見えてきた。
煙突からもくもくと煙が上がっている。

「ほぉ~。大きいね」

「まぁね。ここらでは、結構良い宿なんだよ」

入って、と言ってレクシスはドアを開けた。
フワッと暖かい空気が明希を包む。