キメラがその一撃で倒れ込んだ。

―…ぐらん…っ

明希の視界が大きく揺れた。
まるで地震にでもあったかのように、体がぐらぐらする。

明希の放った光に当たったキメラは素早く体を起こし森の中へと逃げて行った。
レクシスは呆然とその様子を見つめていた。


「な…今のって…?」

ふらつく体を一生懸命に支えながら、明希は口を開いた。

「あれは…魔法…」

驚くレクシス。
明希自身も驚いていたが何かの糸が切れたかのように明希はそのまま倒れていった。

「あ、明希…っ!」


―ア…キ……




――――アキ…

「え……」

「…よかった、目が覚めたのね」

目を開けると安堵の表情をしたレクシスがいた。

頭に置かれた濡れタオルが生温かくなっている。

「私、気を失ってたの…?」

タオルを取って、レクシスに渡す。
レクシスはそっと受け取り、また水に浸した。

「そう。キメラを追い返してそのまま…」

再びぴたりと頭にタオルを付けた。
冷たくて気持ちが良い。

明希は思わず目を瞑った。

「明希が使ったのは光焔(コウエン)魔法って言って、攻撃呪文一種なの。難しい術だから、出来る人は一握りくらいね」

「えっ…!?それを私が使ったの?」

明希はパチりと目を開け、起き上った。
レクシスは静かにコクリと頷く。

―頭の中が真っ白になった…-

「(そんな、私が…?)」