「絵留…」

「なぁに?」

「こっち」

「ん…」


~愛してる~


あたしの彼氏は言葉が少ない

あたしの彼氏は超かっこいい

あたしの彼氏は独占欲が強い

あたしはそんな彼を愛してる


「絵留…絵留…愛してる」

「あたしもだよ?愛してる」

「絵留は、俺の…」

「ん。あたしは恭ちゃんの、恭ちゃんはあたしの」

「愛してる…殺したいくらいに」


あたしの彼氏はおかしいのかもしれない

でも…


「ふふ…じゃあ、一緒に死んじゃう?」


あたしも充分おかしいのかもしれない


(二人きりの世界に生きたい)




朝、起きたら絵留が荷物をまとめてた

嫌な予感がした


~夢の中~


「恭ちゃん、話があるの」

「何…?」

「あのね…あたし、他に好きな人ができたの」


嫌な予感が、したんだ

ねぇ…絵留

絵留は俺のでしょ

俺は絵留のでしょ

俺を捨てるの?

俺、いらないの?


「恭ちゃん?」


俺以外の物になるなら

俺以外の奴を好きになるなら

死んでしまえばいい


「絵留…」

「なぁに、恭ちゃん」


絵留の白くて細いその首に手をかけた


「きょ、ちゃ…」

「絵留、絵留…愛してる」

「や、ぁ…」


え、る…


『…ちゃん、…うちゃん、恭ちゃんっ!』


ん…何?


「ん…」

「恭ちゃん、うなされてたよ?大丈夫?」

「絵留…絵留?」

「なぁに、恭ちゃん」


絵留、俺の絵留

夢、だった…

絵留を抱き寄せて、強く抱き締めた


「恭ちゃん、どうしたの?」

「ん…愛してる」

「あたしもだよ?恭ちゃん、愛してる」


夢でよかった

絵留がいないなんて考えられない

俺の絵留

愛してる…

愛してるから傍にいて


(君がいなくちゃ、生きていけない)




時々、どうしてか

泣きたくなる時がある


~泣きたい~


「きょぉ、ちゃぁん」

「絵留…?」

「きょぉちゃん、恭ちゃん、恭ちゃん、恭ちゃん、恭ちゃん…」

「絵留…なんで泣いてるんだ?」

「わかんなぁい…なんかぁ、泣けちゃうのぉ…」


わけもわからず、涙を流すあたしを

恭ちゃんは黙って抱き締めてくれた


「絵留…愛してる、愛してるよ」

「ん、ん…恭ちゃん、恭ちゃん」


恭ちゃんが好き

恭ちゃんを愛してる

だからなんでか

泣きたくなっちゃう

幸せすぎて泣きたくなっちゃう


「絵留…お前を泣かすような不安がこの世にあるなら、全部全部消し去ってしまおうか」

「ん…恭ちゃんがいるから平気」


あたしは彼に依存してる

彼もそれくらいあたしに依存してくれたらいいのにな…


(貴方がいるなら、何もいらないの)




朝、目が覚めた時

一番に君を見る


~幸せ~


起きたら腕のなかにあるぬくもりが、ごそごそと動いていた

こんなに早く起きるわけがないから、寝返りでもうとうとしているのか


「・・・ん、きょぅちゃん」


夢のなかでも俺と一緒にいてくれてる

嬉しくて頬が緩む


「絵留・・・」


絵留のやわらかくて綺麗な髪を撫でた

頬を撫でると、くすぐったいのか少し動いた


「・・・可愛い」







目尻







絵留の可愛いそこにキスをしてみた


「むぅ・・・」


絵留の大きい目がひらいて、俺を見た


「もぉ、くすぐったいよ」

「悪い・・・」

「んーん。嬉しいから、大丈夫」


その笑顔が俺を幸せにする

その存在が俺の生きる意味


「恭ちゃん、もうちょっと寝よ?」

「ん・・・」

「ギューってしててね」

「・・・ん」


もう一度、絵留を抱きしめる

幸せだと思う


(君がいるから、幸せになれる)






「絵留・・・」

「なぁに?」

「映画、行こう」

「映画・・・?」


~たまには~


久しぶりに恭ちゃんとデート

恭ちゃん、たぶんこの前あたしが見たいって言ってたの覚えててくれたんだよね

優しいよなぁ、恭ちゃんってば


「絵留、時間」

「うんっ!」


恭ちゃんと手を繋いで、中に入って行く


「絵留、楽しみ?」

「うん、すっごく!」

「・・・ん、よかった」





「よかったねぇ」

「・・・そうだな」

「嘘!見てなかった!」

「見て、た・・・絵留のこと」

「・・・ならいーや」


他のことじゃなくて

他の人のことじゃなくて

あたしのことを考えて、見ててくれたなら

何でも許しちゃう


「また、いこうね」

「たまになら、な」


夕日をバックに手を繋いで家に帰る


(たまには、いいかもね)



俺だけを見て

俺だけを感じて

俺だけを思っていればいい


~独占欲~


絵留を閉じこめて、誰の目にも触れられないようにしてしまいたい

でも、所詮俺達はまだ高校生で

高校をきちんと卒業する。

その条件で今、絵留といることができるわけだ

だから、外に出ることを俺は止めることなんてできない


「恭ちゃん、行ってきます!」

「ん・・・俺は、昼から行く」

「うん!わかったよ」


もどかしい・・・

今、ここで絵留を引き止めることができたら、どんなにいいか

絵留は俺のなんだから、俺だけを見てればいいのに

なのに、それができない

イラつく

イラつく

絵留に会いたい、傍にいたい


「絵留・・・」


今、離れたばかりなのに、もう絵留が恋しい

絵留は俺のだって、言えたらいいのに

絵留が安全に高校生活を終えるために、言うことができない

だから、変な男が寄ってくる

絵留に近づく男達に

俺の絵留に近づくなと言えたら・・・

今から、絵留をつれて逃げてしまえるなら

絵留に触れた奴ら全て排除してから

二人きりの世界に、逃げるのに

あぁ、もうダメだ

絵留不足で死にそう


♪~♪~#~


「絵、留・・・!」


《愛しい恭ちゃんへ。 恭ちゃん、お昼からじゃなくて、今から来て・・・?恭ちゃんが近くにいなくて、死んじゃいそう。ね、来てね!! 愛してるよー。 恭ちゃんの絵留より。》


俺は、絵留からのメールを保護してから、急いで制服に着替えた

絵留が待ってる学校まで、全力で走る

絵留、もうすぐで会える


(小さな独占欲、君にだけ)


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