真剣な徳二郎の言葉。どれもがマリアの心に響いた。マリアは泣きながら頷き、そっと左指をさしだした。それを見た徳二郎は、笑顔でマリアの美しく白い手を取りそっと指輪を薬指にはめた。キラリと光を反射し、眩しくマリアの指で輝く。「急だったから、母さんの形見なんだ」と、徳二郎が申し訳なさそうに言った。だが、マリアはそれがかえって嬉しかった。
「とっても綺麗。大事なもの、ありがとう。大切にする」そう言って、徳二郎の胸に飛び込んだ。徳二郎は柔らかくマリアを抱きしめ、「ありがとう、マリア」と、耳元で小さく言った。