徳二郎と出逢って一ヶ月が過ぎる頃、店でのマリアの人気はうなぎ登りだった。その手の雑誌にも取り上げられ、客足も上々で支配人も上機嫌だ。マリア自体はそれほど意識はしていないのだが、徳二郎の影響なのは明らかだった。ショーのタイトルも“聖母マリア光臨。今宵貴方を最高のエクスタシーへ誘う”とご丁寧にサブタイトルまで付いている。実際、多くの男達がマリアの踊りを見ては勝手に果てていた。早く帰りたい気持ちとは裏腹に、出番もいつも最後の方に回され、帰りはいつも十二時近くになってしまう。それでも毎日のように徳二郎が迎えに着てくれていたし、徳二郎もマリアの踊りが好きだと言ってくれていたので、マリアは少し誇らしい気分だった。