じわじわと込み上げてくる何かが心臓をつたって頬まで渡る。 あたしは榊原から目線を外すと、手を頬にあてた。 冷たい指先が頬の熱を吸い上げていくような感覚がする。 やだ・・・熱い。 「あっ、あたしトイレ行ってくる!」 「なぎさ!?」 樹が呼び止める声が後ろで聞こえる。 そんなの構わずに、あたしは女子トイレに逃げるように滑り込む。 洗面台に両手をつき、ゆっくり顔をあげる。