「蓮君、良かったら…これ食べて?今日の午後、調理実習で作ったマフィンなの。」
「マフィン…?」
蓮君は、私が差し出したマフィンを不思議そうに眺めた。
「これ、柚が作ったのか?」
「うん…。」
コクンと頷くと、蓮君はマフィンを見たまま固まってしまった。
ひょっとして、甘い物が苦手なんだろうか…。
考えてみれば、蓮君って甘いお菓子とか好んで食べるイメージないもんね…。
なんか、私…かえって悪いことしちゃったかも…。
「ご、ごめんね!蓮君、甘い物とか…食べないよね!!」
慌ててカバンの中にしまい込もうとしたけれど、その腕をパシッと掴まれた。
「食う。」
「へ?」
「柚の手作りなんだろ?食いたい。」
そう言って、私の手からマフィンの入った紙袋を取った。