無意識の内に言っていた。

なんで?
だって、心から溢れるその名前は―――――。





「―――――離せ」





桜君の声・・・?

「(な、なんで)」

「う、植島っ?」

「お前、なにやってんだよ」

ちょっと待って。

う、植島さん?

桜君じゃないの?
私、聞いたの、桜君の声だったと思うんだけど。

私は植島さんの顔を見た。

「(うわっ・・・///)」



ど、どうしよう・・・
私、植島さんの声を桜君の声と聞き間違えるほど好きなんだ・・・



そう思うと心臓が急に激しく鳴りはじめた。

「え?植島には関係ないじゃん、お前、席に戻ったら?」

「飛我さん、困ってるだろ」

植島さんは私の腕を掴む真治さんの手を離した。

「なんなんだよお前・・・っ」

「・・・」

そういうと真治さんは荒々しくその場から去った。

「・・・大丈夫か」

そっけなく植島さんは私に言った。

「え、あ、は、はいっ!」

駄目だ、植島さんがさっきから桜君にしか見えなくなってきてる!
夢から覚めろ私!!



あ、ありえないからっ!!



「戻るか」

「え!あ、待って!」

「・・・え?」

私は勢い余って大声を出してしまった。

「あ・・・あの、ありがとうございましたっ・・・」

「あぁ・・・あいつテンション高くなるとブレーキかからなくなるから、悪いな」

「い、いえ!う、植島さんが偶然、近くにいてくれたお陰で助かりました・・・///」

ホント、植島さんがいなかったら私、どうなってたことか・・・
でも流石にそんなことは言えなかった。

「いや・・・まぁ、気をつけて」

そういうと、植島さんは先に行ってしまった。