「・・・あ、あの・・・?」

「・・・らしい」

『らしい』?
あまりにも声が小さくて聞き取れない。

「ぇ、え?き、聞き取れなかったんですが・・・」





「素晴らしい身体能力!!君、もしかして数少ない忍っ!?」





「ッ!?」



バッ!!



予想外の展開に私はさっきまで死守していた書類を床にぶちまけた。
ま、まさか敵襲・・・っ!!?

「だ、誰・・・ッ!!」

「怖い顔しないでよっ〜?俺もその『数少ない』忍者だから!君の味方だよ??」

「そんな易々と信じられるか!忍法―――」

・・・急に力が抜けた気がした。





カクンッ





力が抜けたと同時にまた男の子が現れた。
今の子とは違うまた別の子。

私はその子の胸の中にいる。

だ、誰―――・・・?





・・・チリン





「―――――忍法・瞬鈴」





敵らしき奴の叫び声と優しい鈴の音。
なぜかこの子は私の味方だと思えた。



その後からの記憶は、無かった―――――・・・



 * * * 


鈴の音、男の子、黒髪・・・
駄目だ、夢にも出て来やしない。



「・・・ん・・・ッ」



なんか眩しい・・・
私はゆっくりと目を開けた。

普通、目を開けるって言ったら天井が視界いっぱいに見えるはずなのに。

私の場合、視界いっぱいに見えたのは・・・



「あ、おはよー!」