何も答えずに考え込む俺を見て不安そうな顔をする菜々子
その顔を見たら、反対しようと思ってた言葉が途端に引っ込む
本当にそうか?
弟が姉を想って…それだけか?
俺は誰であっても邪魔したいだけじゃないか?
毎日、教室に通って
菜々子に男が近づかないように威嚇して
何かを理由にして
俺は菜々子の人生を邪魔し続けるつもりなのか?
俺は思い直して菜々子を見つめ返す
いつかはこういう日がくると思ってた
思ってたから、ちゃんと心の準備は出来てたし、していたつもりなのに…
やっぱり正直きつい
「そっか…へぇ~!菜々子もとうとう好きな人出来たか~おめっとさん!」
俺、上手く笑えてる?
顔、ひきつってない?
「えへへ…なんか照れる~…」
ホッとした顔をする菜々子
初めて見る照れた顔
自分じゃない誰かを想って笑う顔