朝になった。


「はぁー…」
私は転校先の制服を着ながらため息をついた。

田舎にあのまま居たら、きっとため息なんてつかなかったと思う。

〜♪♪

「ミホ!」
私はディスプレイに表示された名前を見て携帯を開いた。

[都会は楽しい? ミホ]

「ミホ……」

[田舎には負けるよ! 胡桃]
と返信した。

「はぁ…もぅ行こっと…」

私はアパートから出た。
……変装をして。

「キャハハハ!見て見て!あの、三つ編みに眼鏡の子!イカすよねー!」

そう…それは私。
田舎とは違う私を演じるの。

学校に着くと、教師がジッと私を見つめた。

「何…ですか?」

「いや…カリスマギャルって聞いてたから…、驚いたんだ…」

「そぅ…ですか…」

何なのよ…、変わって悪い?
私の本性は私が認めた人しか見せないの。

「まぁ良いや…、名前はー…」

「菅原…胡桃ですが?」

「あぁ!そうだ、胡桃さん!担任の横田です。」

「よろしくお願いします。」

「成績も優秀で丁寧だね!よろしく!」

「…はい」

横田先生がガラッと教室の扉を開く。

「転入生の菅原胡桃さんだー!成績優秀なんだぞ〜!みんな、仲良くしろよー!」

都会の人には似合わない昭和な雰囲気を出す私。

「ガリ勉って感じだね…」

「あり得ねぇ〜…」
ヒソヒソ聞こえる耳障りな会話。

「よろしく……。」


席に着くとかけられる声。
…………良い子ぶってウザい。


「菅原さん!よろしくね〜」

「胡桃ちゃん♪よろしく!」