『次は、○○駅。○○駅です―――』 「お。次で降りるよ」 「あ、うん」 乗ってから5駅。 奏多に促されて席を立った。 電車が止まり、ドアが開くや否や大勢の人が同時に動き出す。 「気をつけて」 「うん」 人ごみに揉まれながらも、奏多がわたしの手を握って引っ張ってくれた。 ホームに降り立ち、周りを見渡す。 …ここって… 「ゆりちゃん行くよ!」 「え、あ、うん」 すぐに奏多の声がかかり、その後を追いかけた。