「先輩♪
気にしない、気にしない!」


ふわりと甘い香水を漂わせて
私を上目づかいで見上げてくるのは
つい先ほど寿退社した社員の同期で
我が部署一番のモテ女

鮎川礼美(あゆかわれいみ)23歳

透き通るような肌に
丸いチーク
そして
きつすぎないグロスのついた唇


一昔前に流行った
「素敵女子」「小悪魔女子」
なんて言葉がぴったり当てはまる


「別に気にしてないわよ。

さ、それより仕事しなさい。
午後一の会議の資料用意できたの?」


少しきつめに言うと

「はーい。」

と口を尖らせてデスクに戻っていく


ハイは短く!

喉まで出かかった言葉を飲み込んで
私も仕事に取り掛かる