階段から落ちるなんていう
なんともアホらしい決断をしたのはいいものの


なかなか小野寺くんと接触するタイミングが見当たらず、数日が経とうとしていた。



そんなある日の終礼のこと。



伊織は心底つまらなさそうにため息をついて私を見た。


「あーもう、どうすんのよ

もうすぐ期末だよ?


試験終わったら夏休みじゃん


高2の夏になんも思い出ないとか悲しすぎるでしょ。」


そう、実は今


期末試験一週間前なのだ



だからそんな、小野寺くんとどうこうなりたいなどと言っている場合じゃないわけで。



「そりゃそうかもしれないけどさー、

留年するっていうのもなかなか重要な問題じゃん?」



「なーにが留年だっつの


葵、あんたなかなか良い点取ってるくせに。




「そりゃあまぁ、それなりに勉強してるし」



担任の連絡事項に耳を傾けず、


私たちはおしゃべりを続ける。



すると、私の名前が呼ばれた気がして、教壇へ目を向けた



「三河ー、図書委員だったよなー?


今月の清掃当番お前らしいから、今日の放課後行けよー」



気だるそうにそう言われて、少しむっとした。


正直、誰かにお前と呼ばれるのは好きじゃない。


「はーい」



だから仕返しのように私もてきとうに返事をしてやる



やっぱり、私はひねくれてる。