「もう、やんないから。
もう二度とハンカチなんか落とさないから。」
教室に戻ってから
私はそればかり言っていた。
なるべく小野寺くんに顔を見られないようにと
これ以上ないくらい体を縮こませて
隠れるようにしてお弁当を食べる。
「あれはしゃあない!うん!
元気出して!葵!」
「だーからなんでにやにやしてんの!?」
笑いを堪えているのが丸わかりだ。
ほんと、なんてバカなことをしてしまったんだろう。
「もうこれは、あれだね
二番を決行するしかないわ。」
「はあ!?」
「大丈夫だって
いざとなったらうちの凛が支えてくれるはずだし」
「…やんないからね。
まじで」
「じゃあいいんだ?
凛に言わせて?」
「それもダメ!ほんと、それだけは無理!恥ずかしすぎるから!」
どちらにせよ、
もうどうでもよくなっていた
いいよもう彼氏とか。
こんなことしてまで欲しいわけじゃない。