私としてはだいぶ頑張って

キメ顔をしたつもりなのだけれど。



「って、…うそ……」



「はい?」



ハンカチを拾ってくれたのは

名前も知らないような男子だったのだ。



それなのに私はーーー



「すみません、ほんと、あ、ありがとうございました」



そう言ってから


奪い取るようにしてハンカチを受け取って、とりあえず逃げようとしたときだった。





王子様、いや、小野寺くんが


不思議そうな顔をして
こちらを見ていることに気がつく。




あーあ



もう、最悪。






「ほんと、最高だわ」




それなのに伊織は爆笑しながら




そう言った。