「ちょっ、伊織!
言っちゃう!?」
「あー、うん!
俺かなり仲いいよ!
でもなんで?
もしかして葵さん、
悠くん狙い?」
「~…っ!!
いいから、ほんと!
あんたの力だけは借りたくない!」
「えー図星かよー!
でもいいじゃん、手伝うよ?俺!」
「ってか声でかい!
聞こえたらどうすんのよ!」
「あ、ごめっ」
ごめっ
じゃないからほんと。
なんでこんなにいつもテンション高いかな、こいつは。
「あたしとしては、凛に手伝ってもらったほうが手っ取り早いと思うけど?」
伊織は持ってきたクッキーを食べながら言った。
全然真剣味の欠片もない。
「でも……せめて、最初くらいは自分でやりたいじゃん…?」
「最初って、なにが」
「その、初めて会話するとき
とか…」
大体、凛太朗の紹介とか
そんなことされたらたまったもんじゃない。
この男ならやりかねないもん
「あー、たしかにそうかもしんない!
じゃあさじゃあさ!
最初の挨拶が終わったら俺に手伝わせてよ!」
「………え~…」
「葵、ここは素直になっとこ。
じゃ、そういうことで凛、よろしくね」
「おうっ!」
まぁたしかに
協力してくれる人がいないよりはいいけれど。
「でもとりあえず
今日はあんたゆっくり寝て
そのくまをどうにかしなさい。
その顔で小野寺くんと初絡みはないわ」
「うん、俺もそう思う」
ほんと、
こいつらに遠慮ってものはないのかな