海理はいつもと変わらぬ笑みを携えて頷く。

「どうして?」

 今度は首を傾げる。そしてメモに書く。

『それは僕にも分からないんだ。』
「そう…なんだ…。」

 ペンが走る。

『陸斗くんが気にすることじゃないよ。さて、ご飯にしよう。僕の担当なんだ。』

 漢字にはふり仮名が付いていた。

『何が食べたい?』
「……。」

 問われて困ったらしい陸斗は旭の顔を見上げた。

「いいよ、好きなものを言って?材料なかったら買いに行くし。」
「…それなら…あったかいものが、いい。」
「分かった。じゃあ今日はあたしも頑張ろっかな~♪海理、手伝うよ。何作ろうか!」
『そうだね…おかゆとか、消化の良いものがいいかもしれないね。』
「そうだよね。じゃああたしと海理のご飯は海理にお願いする!で陸斗のご飯はあたしが作るね。」
『了解。』
「あ、陸斗は好きな席に座ってね。寒くない?」
「…大丈夫。」

 陸斗は旭の定位置の隣に腰を下ろした。