『今朝も話そうと思ってたんだ。
でもなんだか色々バタバタしちゃってたから言えなかった。』


ページが一枚めくられる。
またペンが走り出す。


『とても嬉しかったことがたくさんあるし、伝えたいこともたくさんある。
でも僕はゆっくりと時間をかけてしか伝えられない。』


次のページへ。


『だから先に、あの男の子のところに行ってほしい。
気になって仕方がない、って顔をしているよ。』

「え…?そ、そうかな…?」


海理が微笑みをのせて、優しく頷く。
またペンが動く。


『何か必要なものとか、僕が手伝えることがあれば呼んで。』

「うん!あの子のご飯とあたしのご飯、お願いするかも。」

『うん。任せて。』

「ありがとう!
海理の話聞くのも楽しみにしてるね。夕御飯の時にちゃんと聞くから。」

『…ありがとう。』


海理の微笑みを背に受けて、あたしは自分の部屋の前に立った。
ふーっと息を吐いて、2回ドアをノックした。