「何で元兄ィ謝るの?桜が勝手にした事なのに」
「心配したんだ!桜に何かあったらって。『R』の噂は俺も聞いてたし…太陽から連絡貰うまで生きた心地がしなかった……」
「桜が妹のようなものだから?」

抱き締められた元気の胸を力任せに押し返す。

「義理で心配するなら別にいいよっ。元気兄ィにはあの人いるじゃん!桜よりずっと色気あって大人な人…」
「桜っ!」


初めて聞く元気の怒鳴り声。怖い顔。ビクッと桜の身体がこわ張る。


「誰が義理だって言った?確かにずっと妹だと思って可愛いがってきたよ。目に入れても痛くないくらい。でもいつからか桜の魅力に気付いてから…もう桜は俺の『特別』なんだ。いつの間にか桜しか見えなくなった」
「それって……」


手の力が抜ける。身体全体で抱き締められる。

「好きだよ、桜…もう我慢の限界」
「元兄ィ~っ」


-好きでいてくれたんだ……-


今まで我慢してた気持ちが一気に溢れ出す。涙が止まらない。


「元兄ィ…好き!桜もずっと好きだったの」
「分かってたよ」
「ええっ」
「言ったろ?俺は桜の事分かるって」
「じゃあ何で言ってくれなかったの?」
「まだ16だろ?いくらなんでもあと2年は手出すのはマズいかなって」
「言ってよぉ。私どれだけ悩んだと思ってるの~?」


2人は寄り添って歩き出す。やっと想いが通じ合って本当の恋人同士になれた。


「いや、俺だって相当我慢してたんだぞ?露出するわ、密着するわ……」
「元兄ィ意識してくれてたの?」
「いやむしろ意識しないように頑張ってた。桜一緒に寝ると足絡めてくるだろ。あれホントヤバい…それに桜シャツ一枚で寝てるから目のやり場に困ったし。お前にキスされる夢まで見ちゃって俺欲求不満なのかと……」
「夢じゃない…」
「ええっ?」
「ホントにしたもん。早く帰って来るって約束したのに破ったから…でも元兄ィ全然反応しないからすごいヘコんだんだから」
「まぁお袋にも桜に出すなって釘刺されてたしな。でもこれからは両想いって事で」
「うん♪」


元気の顔が近付いて来る。桜は首に腕を回すとそっと目をつぶる。優しく触れ合う唇。想いが通じ合った証し。