「いたずら?よりによって『R』に誘い込むのがいたずらで済まされんの?俺らの大学の娘あの店に連れ込まれて回される事件、知らなくないよね?」


-なっ……そんなに危ない店だったの?-


「なんならさ。ナオも行ってみる?あの店」

途端にナオさんが怯えてかぶりを振る。


「いやっ……太陽そんなことしないよね?私達愛し合ってるんだもん。そんな…」
「は?愛してるなんて言ったっけ?それどころか好きって言ったこともないはずだけど。俺本当に好きな娘にしか言わない質だから」
「そんな……」
「第一、胸おっきいのも美人系もあんまり好きじゃないんだよね。それ以上に………」


ナオさんからすっと身体を離す。

「人の女危険に晒すような最低な性格してる奴は付き合う価値ない。アドレス消去したからもう構内で会っても声かけないでね♪じゃっ」


桜の手を引くと出口に向かって戻り始める。背後から甲高いヒステリックな声。


「なによ。二股かけてた極悪人の癖に!そんなガキと両天秤にかけてたなんて……悔しい!」
「俺の彼女じゃないよ。桜は……兄貴の大切な人」
「は?」


今度は桜がビックリ。

-ちょっと、今なんて?-


太陽は足を止めてくれない。引きづられるように店の外に出る。


「ちょっ……太陽どういう事よ」
「どういうって……言ったろ?人の女って」

「なんであんたがそんなこと言うの!?元兄ィにはあの人が居るじゃない」


「そんなん本人に聞けば?ほら」


太陽が指差した先に長身のシルエットがかけてくる…桜はすぐに誰だか分かった。


「元兄ィ……」


-……ッ、オン、オン、オンッ-


「太陽!?」
「お邪魔虫は退散すっから。しっかりやれよ」


-ホントは俺のものになって欲しかった。好きだったんだ昔から…-

「何?聞こえないよ」
「じゃな」


ヒラヒラ手を振りながら白煙を残し走りさってしまった。



「桜!」
「元兄ィ……なんでここに?」

がばっと抱き締められる。荒く強く。いつものソフトな雰囲気は感じられない余裕がない感じ……。

「太陽から連絡貰って……よかった無事で。俺があの時ちゃんと確かめてれば…ごめんな」