「それよりさ……その格好なんとかしろよ。目のやり場に困るんだけど」

思えば下着の上に元気のカッターシャツ一枚身に着けてるだけの桜。それで太陽の首根っこに掴まってたらそりゃあもうあられもない姿で……。

「なによ。太陽なんかこんなの見慣れてるでしょ。もっとセクシーでグラマーで色気むんむんの」
「それとこれとは違……」
「そんなことより部屋で寝てて!ママに知られたくないなら桜の家から冷やす物持って来るから」

ぐいぐい太陽を2階に押しやると玄関脇の垣根を飛び越え自分の家へ。取りあえずマッハでシャワーを浴び手早くキャミとミニスカに着替える。が、思い直してキャミから胸元が隠れるタンクトップに着替え直す。

-注意されたし一応ね……-

キッチンやら納戸やらをかき回し必要そうな物を袋に詰め込む。それを持ってママに見つからないようにこそこそと2階に上がる。

-コンコン…-


「太陽?」

部屋の中に入る。太陽の部屋。前に入った時はうんと散らかってたのに思ったより綺麗になっていたのでビックリした。壁一面にいろんな物が飾ってあるけど、ごちゃごちゃ感はない。


「部屋汚くしてるのかと思ってた~」
「いつの話だよ。桜が最後に俺の部屋来たの一年以上前だぜ?」


ムクッとベッドから起き上がる太陽。平気そうにしてるけど一瞬眉間にしわがよるのを桜は見逃さなかった。


「いいよ、寝てなよ。冷やす物色々持ってきたから……まだ痛む?」

右手を冷やす為に氷嚢をあててやる。


「ん~…薬効いてきたから大丈夫」
「おでこに貼ろうか?」


桜が手を伸ばすとパッと太陽に掴まれる。汗ばんだ熱い大きい手…。

「こっちのがいい。冷たくて気持ちいい……」


桜の手を自分の額に当てる。人肌がよほど気持ちいいのか目をつぶりウトウトし始めた。

-太陽……きっと痛みで眠れてなかったんだ-


髪の色は違うけど元気に寝顔がよく似ている。
桜は太陽がすっかり寝入るまで手をあて続けてやった。昨日助けて貰う時まで太陽のことホント大嫌いだった。でも太陽は身を呈して桜を守ってくれた。元気と同じくらい桜を大事にしてくれている。