「はい…私は、このレイドタウンの王女、シリアといいます」

「へぇ…シリアちゃん、か」

「こ、こら若いの!シリア様に失礼だぞ!」

「かまいません。私はお二人助けてもらった身ですから、好きに呼んでください。カオルさんにシオンさん、どうもありがとうございました。今から私の家…レイド城に来てください」

「あ、ちょっと待って。武器屋のおっちゃん、あの…」

「あぁ、金ならいいさ。あんたらは勇敢に王女様を救ってみせたんだからな。その武器、大切に使いな!」

「ありがとうございます!」

「ありがとな、おっちゃん。じゃあ、城に行くとするか。…ぐっ、痛っ…」

「だっ、大丈夫!?」

「だーいじょうぶだよ、こんくらい。いててて…気にすんな、シオン」

「一刻も早く城に帰りましょう…怪我の手当てをしないと」

「ありがとな、シリアちゃん」

俺はシオンに肩を借りて、何とか城まで歩いていった。シリアちゃんが案内してくれたおかげで、わりとすぐに着いた。

城に着くと、早速傭兵っぽい人…ていうか傭兵が来た。これまた初めて生で見たわ。カッコイイ!

「シ、シリア様!先ほどモンスターが街に出たとの情報がありましたが、ご無事でしたか!後ろの二人は…?」

「この方たちは、私の命の恩人です。すぐに医療室へ連れて差し上げなさい」

「は、はい!」

おぉ、さすが王女様だな。兵士も頭が上がらねぇみたいだ。シリアちゃん、すげぇな。

傭兵さんの案内で、俺達は医療室に連れて行かれた。傷口は血まみれで膿んでたけど、きれいに洗って薬…俗に言う傷薬ってやつだな…を塗って、包帯を巻いてもらったら楽になった。

「こちらへどうぞ」

医療室にいた女の人の案内で、俺達はでっかい扉の前に来た。扉を開くと…。

おおおおお!!王室じゃねーか!ただっ広い部屋に、床に敷かれたフワフワの赤い絨毯に、部屋中の豪華な装飾品、それから、王様と女王様らしき人に、シリアちゃんもいる。

「シオン、シオン!王室ってすげぇな!」

「カオル、モンスターを見た時もそうだったけど、はしゃぎすぎだよ」

また怒られた。

「しょーがねぇじゃん。初めてのことだらけなんだからさ」

「僕だってそうだよ。でも、いちいちそんなに驚いてたら、身がもたないよ」

「…ごもっともだな。ごめん」