「鍛える?」
「そうさ。俺達武器屋は、武器を売るだけじゃねぇ。武器を鍛えてより使いやすく強くするのも仕事なんだ」
「じゃあお願いします!あ、俺はカオルっていいます」
「ほう、カオル君か」
「君じゃないです。女です」
「えっ!?女?」
はっはっはっは。このオッサンもか。なーんで俺って間違われやすいのかなぁ。
「すまんすまん。カオルちゃんにシオン君だね。任せとくれ。そうだな…30分したらまたここに来とくれ。そしたら、鍛え終わった武器を渡すからさ」
「わかりました!」
「よろしくな、おっちゃん」
俺達は、武器をオッサンに預けて街を見回ることにした。
「あ、ねぇねぇ、カオル!」
「何だ?」
「あそこの店で売ってるパン、美味しそうじゃない?」
「そうだな。なんか腹減ってきたし、食いてーな。でも金とかあるかな…?」
「腰のポシェットに入ってないかな?」
ポシェット?あ、なんか腰についてるわ。気付かなかったぜ。
ポシェットの中を見てみたら、何やら薬みたいなのと、袋が入ってた。袋を開けたら、金貨が一枚、銀貨が十枚、銅貨が十枚入っていた。金貨には1000G、銀貨には100G、銅貨には10Gって書いてある。わかりやすいな。
「よーし、とりあえず、あの店でパン買ってから、冒険用の道具を買い集めるとするか」
「賛成!」
パン屋のおばちゃんに聞いてみたら、パンは一個30Gだった。俺達はパンを買ってから、道具屋に行った。そこで、乾パンと燻製肉と缶詰、それからナイフを買った。これで、残金は1070Gだ。
「そろそろ30分経ったし、武器屋に戻るとするか」
「そうだね」
俺達は再び武器屋に向かった。
「きゃあああああっ!!」
うわっ!?何だ何だ!?
「カオル、大変だ!あそこ!」
「何だ!?…あっ!」
シオンの指差す方を見たら、まだ小さい女の子がフィーノスの親玉に狙われていた。周りにもたくさんフィーノスがいて、誰も近寄れないでいた。
早く助けねぇと…!
俺達は急いで武器屋に行った。
「おっちゃん!もう武器は鍛え終わったか!?」
「あぁ!バッチリだ!」
「ちょっと使わせてもらうぜ!金は後で払う!」
「すいません、急いでるんで使わせてもらいます!」
「お、おい、どうした?」
オッサンの言葉に応えずに、俺達はフィーノスの群れの方に走っていった。