「こいつら、どうやって倒せばいいんだ?」

「む、無茶ですよ!こいつら…フィーノスはだいたいこうやって群れで襲いかかってきますから、キリがないんです!奴らの親玉を倒さないかぎり、助かりません!しかも、親玉は普通のフィーノスより大きくて強いですし…」

「つまり、デカイ奴を倒せばいいんだな?」

「え?ちょ、ちょっと!危ないですよ!」

運転手のおっちゃんの忠告を無視して、俺は馬車から飛び降りた。他の奴らみたいに、ビビって何もしないより、俺は戦う方を選ぶ!それが冒険者ってモンだ!

「でやあぁっ!」

『グエア…ッ』

おぉ、目の前にいた奴をぶった斬ったら、断末魔を残して消えちまった。血とかなしに消えるのか。すげぇ。さすがゲームの世界って感じだな。

よっし、どんどん行くぜ!襲いかかって来た奴は、皆ぶった斬ってやる!

『ガアァ…ッ』

『グギャア…ッ』

『ギエェ…ッ』

……………………。

はぁ…はぁ…どんだけ倒せばいいんだ?キリがねぇ。早いとこ親玉を探さねぇと…。

『キシャアーッ!』

ガキンッ!

「うおっ!?」

あっぶねー!剣でガードしてなかったら、かき爪で引き裂かれるところだったぜ。

…こいつが親玉か。確かに他のフィーノスより一回りでかい。

でも、そんなの関係ねぇ!俺の冒険を邪魔する奴は倒すのみ!

「でやあぁっ!」

ガキンッ!

「なっ!?」

ヤバい。硬い鱗にはじかれた。ガードが間に合わない。このままじゃ、死……。

ヒュン、ドスッ!

『グアァーッ!』

な、何だ?何か飛んできたぞ!?

…矢だ!奴の体に突き刺さっている。

「今のうちだよ、カオル!」

弓を構えたシオンが向こうで叫んでる。あいつの武器って、弓矢だったのか!おかげで奴に隙ができた。腹の部分には鱗が無い!ここが狙い目だ!

「せいやっ!」

ザシュッ!

『ギャアァ…ッ…』

フィーノスの親玉が、断末魔を残して消えた。

「よっしゃー!」

親玉を亡くしたフィーノスは散り散りになって去っていった。

「カオルー!ケガは無い?」

「お、シオン!おかげで助かったぜ!ありがとな!」

シオンが走ってこっちに来た。まず一番に俺の心配をしてくれるなんて、優しい奴だな。

「おぉ…これでまた馬車が出せます!助かりました!よかったらお名前を教えてください!」

馬車の運転手のおっちゃんに言われた。