「あ、ありがと…僕、テレビとかに出ててけっこう有名になってるみたいだから、注目されやすくて…君は僕のこと知らないの?」

「知るわけねぇだろー初対面なんだから。だいたい俺は、アニメとゲーム意外でテレビを使ったことねーし」

てかさぁ、自分で自分のことを有名って言うのってなんなのナルシなの?

「よかった…僕、ホントは目立つの苦手なんだけど、親に無理矢理テレビに出さされて…。さっきみたいに絡まれることも多いから、嫌なんだ。でも、君は僕を知らないみたいだから、普通に話せそうだね。本当によかった」

前言撤回。ナルシじゃないわこいつ。いろいろ大変なんだな。

「僕はシオン。よろしくね。君の名前は?」

「あぁ、俺?俺はカオル。よろしくな」

「うん。ところで、一つ質問していい?」

「別にいいけど…何だ?」

「この馬車に乗っている人達ってみんな同じような格好をしてるけど、どうしてカオルだけ違う格好をしてるの?」

あ?れ?ホントだ。シオンも含めて周りの人はみんな、丈の長い長袖の冒険服に長ズボンって格好だけど、俺は丈の長い部分は腰の辺りで結んであって、下は七分丈のパンツっていう格好だ。

「あー多分アレじゃね?男用の装備と女用の装備は違う的な」

「なるほど。ってことは…カオルって女子なの!?ごめん、男子だと思ってた!」

はっはっはっは。やっぱりな。なんで俺って男に間違われやすいんだろうな。

「謝ることねーよ。よく間違われるからさ。それより、これからどうしたらいいと思う?」

「うーん…そこが問題だよね…この馬車に乗ってる人は皆、僕達と同じみたいだし…」

「だよな。これじゃゲームが進まねぇよ」

「そうだね。この馬車の運転手さんに話を聞くわけにもいかないし…」

「そうそう。…って、シオン、お前今何て言った?」

「え?だから、馬車の運転手さんに…」

「それだ!!」

あ、やべ、大声出しすぎた。周りの人みんなこっち見てる。気まずい…。

まぁ、いいか。

「それだよシオン!馬車の運転手は、きっとこのゲームに登場するキャラの一人だろうから、そいつに話を聞けばいいんだ!思い付かなかったぜ!お前、頭いいな。何歳なんだ?」

「僕?僕は14歳だよ」

「なんだ、俺と同い年か。改めてよろしくな」

「うん!」