「おはよう、カオル」

「はよー、シオン…お前、眠くねぇか?」

「僕は大丈夫だよ。それより早く朝ごはん食べようよ!僕お腹ペコペコだよ!」

お腹ペコペコって…どんだけ可愛い表現だよまったく…。

とかいう俺のツッコミは置いといて、俺達は朝飯食ってまた進むことになった。

だけど…。

「なんでまたフィーノスに襲われなきゃいけねぇんだよ!?」

「落ち着いてよ、カオル!」

「落ち着けるか!仕方ない、とっととぶった斬って前に進むしかねぇか…」

「待ってカオル、無駄な殺傷はしたくないから…」

キイィーン!

「閃光手榴弾が効いているうちに逃げよう!」

「シオン…」

「…?」

「閃光手榴弾使うなら言ってくれよ!目と耳がめっっちゃ痛いんだけど!?」

「あ、ごめんごめん」

そんなこんなで、フィーノスとかスライムとかウォーウルフを閃光手榴弾で上手いことかわしながら俺達は前に進んだ。んで、あっという間に夜になった。

晩飯を食ってから、俺はまた見張りについた。今回は寝ないように気をつけねぇと…。

「…ねぇ、カオル」

ん?まだ起きてたのか。

「どうした、シオン?」

「僕って…冒険者失格じゃないのかな…」

「はぁ!?」

いきなり何言い出してんだコイツは!?冒険者失格って…。

「そんなこと…」

「そんなことない、ってカオルなら言ってくれるよね。でも、本当に自信が無いんだ。モンスターにも命がある。僕は命を奪うのが怖い。そうやって今までのことをうじうじ悩んでるんだ。いざ戦うとなると、自分の身を守るのに精一杯で、相手を倒すことしか頭にないのに、後になってこんなに後悔して…」

「シオン…」

「…何?カオルって痛い!」

俺はシオンの頭に、拳骨を一発落としてやった。

「あのな、シオン、生き物の命を奪うのに罪悪感を感じるのは普通なんだから、何も心配いらねーんだよ」

「でも、僕は冒険者…」

「冒険者は罪悪感を感じちゃいけねぇなんて誰が決めた?お前が悪いなんて誰が言った?誰も言ってねーよな。だからいいんだよ。第一、俺はお前と一緒に冒険したいから一緒にいるんだ。細けぇことは気にすんな」

「カオル…」

「ん?」

「ありがとう」

「あぁ!」

そして、また朝が来た。